環境発電技術部門division of energy harvesting technology

光と振動を基軸とする環境発電技術の開発と応用

取組課題の概要

環境に存在する様々な未利用で微小なエネルギーである光・振動を活用し、情報端末やセンサー機器への電気エネルギーを供給し、モノと情報が密接につながる高度情報化社会の実現に貢献する。

取組課題の内容

光エネルギーは高耐久かつ高効率な高性能フィルム太陽電池より、振動エネルギーは耐久性・耐環境特性・加工特性に優れた磁歪材料による磁歪式振動発電により電気エネルギーに変換する。素子構造の開発、材料開発、低コスト化を可能にするプロセスの開発を有機的に組み合わせた異分野融合による研究を推進し、IoT(Internet of Things)用の自立電源としてワイヤレスセンサーシステム等に実装・実用化を加速させる基盤技術の確立を目指す。

  • 技術開発項目

    • 逆型有機薄膜太陽電池のキャラクタリゼーションから、本素子構造に適した発電層作製法を探索する。すなわち、項目②で合成する有機発電材料から成るバルクヘテロ接合型ブレンド膜のモルフォロジー制御とキャリア移動度の評価による、製膜条件の最適化を行う。また、プラスチックフィルム太陽電池作製に適用可能な100 ℃以下の低温プロセスを開発し、低温処理で機能する塗布用発電材料探索、及びその化学的、物理的性質の評価を行う。(高効率化、高耐久化、フィルム化、分析・評価)
    • ドナー性新規有機発電材料の合成、並びに各種アクセプター性フラーレン材料の合成による、逆型素子に適した高効率発電材料の探索を行う。(発電用の有機半導体材料の創製)
    • 有限要素法をベースにした振動発電デバイスの構造・磁気回路の設計により、高感度化(振動加速度0.1 Gで1 mW)と50%以上のエネルギー変換効率を達成、試作評価により効果を実証する(高感度、高効率化)。開発する振動発電デバイスを電源として動作する、電池不要IoTの技術モデルを提示する。
  • 年次計画

    下記の要素技術開発と下記協力企業の実用化研究を有機的に組み合わせることにより、高性能な有機・無機薄膜太陽電池および振動発電デバイスをIoTの自立電源としてシステムに組入れ実用化を目指す。

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    協力企業: (株)イデアルスター,(株)倉元製作所,梶製作所,東京ドロウイング 他

  • 高効率・高耐久性の有機・無機薄膜太陽電池、磁歪式振動発電素子の開発マイルストーン

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研究目的

「地域と社会とともにある大学」として発電と情報技術の融合によるエネルギー研究拠点の形成を目指す。本学が有する卓越した技術シーズ「振動発電」と「有機太陽電池」を「どこでも電源」として環境発電を実用化,これとセンサ・無線通信を融合した自立型(電池のいらない)無線センサモニタリングシステムを完成させる。そして,これを社会インフラ,プラント,農業のモニタリングや安心・安全な暮らしに貢献するモノをネットワークで結ぶ技術に応用する。

世界をリードする独自の発電技術
有機太陽電池 発電効率8%以上,光連続照射1000時間における性能維持率80%以上の達成
振動発電 変換効率50%以上の達成
要素技術開発 実用化例

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<環境発電技術部門>H29年度実施計画概要

部門名 環境発電技術 部門長 桑原 貴之
組織等 氏名 属性 所属・職名 役割分担
桑原 貴之 兼任 物質化学系・准教授 研究統括、有機太陽電池の作製法の開発
石島 達夫 専任 RSET・教授 有機-無機材料用のプラズマプロセス法の開発
當摩 哲也 兼任 InFiniti・准教授 有機-無機太陽電池の作製法の開発
上野 敏幸 兼任 電子情報学系・准教授 磁歪素子を用いた振動発電技術
辛川 誠 兼任 InFiniti・准教授 有機半導体の合成法の開発
髙橋 光信 兼任 物質化学系・教授 有機太陽電池の設計、性能最適化
北川 章夫 協力 電子情報学系・教授 環境発電と情報通信技術のシステム化開発
前田 勝浩 協力 物質化学系・教授 有機材料の分子設計及び合成法の開発
西村 達也 協力 物質化学系・准教授 有機材料合成法の開発
井改 知幸 協力 物質化学系・准教授 有機材料合成法の開発
研究内容の概要
  • 【 研究目的 】
    モノと情報が密接につながる高度情報化社会の実現に貢献するため、
    環境に存在する様々な未利用で微小なエネルギーである光・振動を活用し、
    情報端末やセンサー機器の作動に適応可能な電気エネルギー供給デバイスを開発する。
    光エネルギーは高耐久かつ高効率な高性能のフィルム太陽電池により電気エネルギーへと変換する。
    振動エネルギーは耐久性・耐環境特性・加工特性に優れた磁歪材料を
    用いた磁歪式振動発電により電気エネルギーに変換する。
    素子構造の開発、材料開発、低コスト化を可能にするプロセスの開発を
    有機的に組み合わせた異分野融合による研究を推進し、自立電源による
    ワイヤレスセンサーシステムの実用化を加速させる基盤技術の確立を目指す。
  • 【 研究の特色 】
    軽量かつフレキシブルなフィルム型の太陽光発電素子として、
    従来型構造の素子に比べて格段に高い耐久性を示す『逆型有機薄膜』の
    形成技術に特色がある。
    この逆型素子は大気中でも安定な材料を用いて作製することができるため、
    従来型とは異なり、未封止状態でも大気下において高い耐久性を示す。
    また、振動発電素子は、耐久性・耐環境特性・加工特性に優れた
    磁歪材料として鉄ガリウム合金を用い、かつ、平行梁の構造を用いることで
    効率の良い電気エネルギーへの変換を実現できることが特色である。
    本部門では、このような金沢大学発の高耐久性逆型有機薄膜太陽電池や
    磁歪式振動発電の潜在能力を実用化レベルまで高めることを目指す。
    薄膜太陽電池における研究開発の目標は、低コスト化(目標値50円/W)や高付加価値化であり、
    その方策として、低温プロセスの開発を行う。
    さらに、材料創製やプロセス開発などの基礎研究を強力に推進し、
    高性能な逆型有機薄膜太陽電池を完成させる道筋を明らかにする。
    振動発電素子における研究開発の目標は、
    デバイスの高性能化(高感度、エネルギー変換効率50%、半永久の寿命)を達成し、
    高性能振動発電デバイスで動作する電池不要IoT (Internet of Things)の
    技術モデルを確立することである。
実施計画の概要
薄膜太陽電池の材料開発に関する研究(前田・井改・西村)
  • 基板上への固定化を指向したアミノ基含有フラーレン誘導体(A)の合成
  • 化学的及び光学的諸性質を効率的にチューニングできるπ共役分子(B)の合成
  • 高い正孔輸送特性を有するジオキシチオフェン系導電性高分子材料(C)の合成
薄膜太陽電池の素子構造とプロセスに関する研究(高橋・當摩・桑原・辛川・石島)
  • 基板上へのAの固定化法の検討及び固定化基板の物性評価
  • 上記のA固定化基板および発電層材料Bを用いた有機薄膜太陽電池素子の性能評価
  • 高効率化に向けた電子捕集層/有機発電層の界面制御、
    およびドナー・アクセプター(有機発電層)の最適組合せの開発
  • 導電性高分子Cの導入による正孔捕集層/有機発電層の界面制御と最適化
  • 無機有機ハイブリットであるペロブスカイト太陽電池の研究開発
  • 新規の低温・低コストのプラズマプロセス法の開発
振動発電素子の高性能化技術の開発(上野)
環境発電を用いた情報通信技術のシステム化に関する研究(北川)
セミナー等の開催予定 研究ミーティング:4回 / 年
セミナー開催:3回 / 年